2011/08/07

リアルなフィクション

小川洋子の『人質の朗読会』を読んだ。

フィクションだと分っているのに
途中で何度も、ノンフィクションを読んでいる
錯覚に陥った。


ショッキングな設定を最初に教えられて
そこで一旦深呼吸する。

そして“朗読”を読みながら、
一人終わる毎に深呼吸する。

人にはそれぞれの人生が当然ある。
でも“そこ”に居合わせた人達の運命は一緒だった。

最後の“朗読”、「ハキリアリ」を読んで
「事実は小説よりも奇なり」という言葉を思い出した。
いや、これは小説。

そんな風に、こちらの意識を行ったり来たり
掻き回す小説だった。

似たような表紙の本を最近よく見たので
調べてみたらやはり同じ人の木彫だった。
土屋仁応という彫刻家の作品。
この切ない感じがすごく好き。